こんにちは。
家電好きICのburameです。
雑誌PENの最新号を読んでたら今年3月発売のダイキンエアコンrisora(リソラ)の記事が目に止まったので、今日はインテリアコーディネーターの目線でこの商品について思ったことを書こうと思います。
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risoraの大きな特徴はそのカラー&質感バリエーションとすっきりとしたデザインです。
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インテリアコーディネーターであれば誰しも一度は悩まされた事があるのがエアコンだと思います。
はっきり言ってコーディネーターにとってのエアコンは、空間をデザインする上で「デカい」「ダサい」「邪魔」なものです。
どんなに素敵に仕上げたインテリアもエアコン一つで台無し・・・なんてことはよくあります。せっかくこだわったアクセントウォールにエアコンが付いてたとか(涙)
お金に余裕のあるお施主様であればいかにエアコンを隠すかにお金をかけるというのも珍しくない話です。例えば造作家具の一部に隠したり天井にビルトインしたり。ですがそんなにお金をかけたのに、家具に入れ込んだら空調の効きが悪くてクレームになったなんて話も・・・。
こんな感じでインテリア関係者にエアコンの話をふれば一つや二つは苦いエピソードが出てくる事うけ合いです。
だけどそんな現状もrisoraによって少しは変化があるのかなと思ったので、このエアコンによってもたらされるメリットや、もう少しこうだったらいいのになという点を挙げてみようと思います。
risoraを選ぶメリット
その1:エアコンを隠さなくていい
最大のメリットはこれだと思います。
部屋のコーディネートに合ったカラーや質感を選べば、エアコンが悪目立ちせず空間に馴染んでくれます。そうなれば、アクセントウォールのエアコンにがっかりするどころか、むしろより素敵な空間に仕上げる要素になり得ます。
また、前述のような造作家具やビルトインするコストを抑えて他のことにお金を使えるというメリットもあるかと。出始めはエアコン自体が他のものより高いのであまりコストを抑えることはできないかもしれませんが、需要が伸びてメーカー間で競合するようになれば価格も下がってくるんじゃないかと期待してます。
その2:圧迫感の軽減
このエアコン厚み185mmとすごく薄いんですよね。
burame調べによると同じダイキンの新商品でも370mmのものなんかもあるし、他メーカーの薄型でも奥行き200mm以上が多いみたいなので、この薄さは企業努力の賜物ですね。そして空調メーカーらしく薄さだけでなく機能にもこだわってるのも安心できていいです。
で、薄いと何がいいかってやはりその圧迫感や存在感が軽減されてすっきりしますよね。デザイン性が上がったといってもやはり無い方がすっきりするので存在感が小さくなるのはいい事かと。それに頭上に大きな塊があるのって圧迫感がありませんか?それを軽減できているというのもメリットの一つだと思います。
その3:インテリア要素としての新たな可能性
従来のエアコンはインテリアにとって目立たせたくないものであり調和を乱すものでしたが、risoraの登場によってそのあり方も少し変わってくるのかなと思いました。
risoraはカラーバリエーションだけでなくその質感にもこだわってるのも魅力です。素材がペラペラのプラスチックのままで色だけ変えても安っぽくて人気は出ないと思いますが、写真だけでもブラックウッドやブラウンメタリックはかっこよさそうで提案してみたいと思いますし、グリーンやソライロも実物がどんな感じなのか気になるところです。壁面と同系色で馴染ませて存在感を消すも良し、お部屋のテーマカラーに合わせて差し色にするも良し、インテリアの楽しみ方の選択肢が増えるのはいい事だと思います。
risoraを選ぶ際に気をつけたいこと
アクセントにする場合は慎重に
コンパクトになったとはいえ、高い位置にある大きい物体なのでやはり目立ちます。同じ色と面積であっても、ラグなど足元にある分には派手でも気にならなかったりしますが、上の方に来た途端にすごく主張するということもあります。
また、サイトの例だと広々した空間の中にポツンとエアコンと家具が写ってますが、実際は住宅の天井ってもっと低いですし生活空間の中にはカーテンなどたくさんの色が出てくるので、空間の広さやカラーバランスに応じて色を決める事が大切です。
サイトの例にある和室のように壁面と同系色でまとめるのであれば失敗することはあまりないかなと思いますが、グリーンやブルーなどエアコン自体が室内のポイントになる場合はイメージパースなんかを作ってバランスを見ておく事をおすすめします。
残念!もっとこうだったらいいのに
その1:DAIKINのロゴが残念
こんなにスタイリッシュさにこだわってるのに、なぜあんな正面の目立つところに社名入れちゃうんですかね・・・。
自社の製品であることをアピールしたいのはわかりますが、見た目にこだわってセンサーまで下に隠したんだからロゴももっと目立たないところに入れようってならなかったのが不思議です。もしくはデザイナーはそうしたかったけど、会社のお偉いさんに社名を印字しないなんてありえない反対されたとか?
例えばこのエアコンを家電量販店や人の家で見かけたとして、それを欲しいと思うような人はあんなところに社名を入れてなくてもお店であれば周りの販促パネルやカタログを見るだろうし、人の家で見たら持ち主に聞くんじゃないかなと思うんですよね。つまり本当に商品に自信があるなら、社名の印字をあんな目立つところにしなくてもいいのではないかと。
それでもどうしても入れたいというのなら、もっとおしゃれなフォントのロゴにしてみるとか?それかappleみたいに会社のマークをさりげなく入れるなんてどうでしょう。
その2:リモコンが惜しい
リモコンについては完全に思考停止してます。
”スタイリッシュリモコン”なんて言ってますが、「すっきり」「白」で止まってます。このリモコンの形状や素材にはこだわったのかもしれませんが、ボタンや印字の前で息絶えてます。
どんなデザインかというと、真ん中の大きいボタンに「運転 停止」とデカデカと書いていて、他にも「温度」とか「自動運転」とかボタンの機能がわかりやすく印字されてます。
おそらくこのエアコンのメインターゲットってインテリアへの意識が高い30〜40代くらいかなと思うんですが、そんな人達にわかりやすさ重視のリモコンって必要ですかね?「ON/OFF」とかPCについてるリンゴみたいなマークで十分「運転 停止」のためのボタンだってわかりますし、他の機能も「AUTO」とか氷マークなんかでも意味はわかりますよね。それに上に液晶もあるし、適当にピコピコすれば若い人でなくてもなんとなくわかると思います。
あと、色も白しかないみたいですがブラックやブラウンのエアコンが似合うお部屋にも白のリモコンしかないってどうなんでしょう。せっかくダークトーンでまとめたお部屋でエアコンもかっこよくしたのに、白いリモコンがぴかーっと壁またはテーブルの上で目立ってる・・・みたいな。せめて黒くらいあってもいいのではないでしょうか。
リモコンって頻繁に使う時期は常にテーブルの上にあったりもしますし、もう少しこだわってほしかったです。
その3:ソライロの本体色はダークグレー?
正面から見えるパネルのデザインはいくつかあるんですが、側面や下から見える本体色は白かダークグレーの2色でパネルによって本体色は決まっています。本体色が白なのはホワイト系のパネル2色のみで、他のカラーはすべてダークグレーで統一されます。
パネルに合わせた本体色を揃えるのはコストがかかりますし、顧客側も選択肢が多いと迷ってしまいますのでこのように決め打ちにするのはいいと思うんですけど、私が疑問なのは淡いブルーのソライロの本体ってダークグレーかな?というところです。
ソライロを付けるお部屋をイメージしたとき、サイトにあったようなナチュラルでカジュアルな軽い印象のお部屋が合うと思うんですが、そんなお部屋の天井付近にあの黒っぽい本体があるのって、なんだか重いと思うのは私だけでしょうか。
他のカラーは違和感ありませんがこのソライロに関してはかわいくしたかったのかかっこよくしたかったのかよくわかりません。かといって白もどうなんだろうとも思いますが、少なくとも黒っぽいよりは全体のトーンにも合わせやすいんじゃないでしょうか。
実際risoraはヒットするのか?
そんなことわからんというのが正直なところですが、実際にたくさんのお施主様に接してきた経験からいくつか想像できることもあります。
ブラック・ブラウンの需要は大きい
ブルックリンスタイルやイタリアンモダンなど、様々なテイストでモノトーンは常に人気があるのでブラックは受け入れられやすいのではないかと思います。
そして和室だけでなく和モダンなリビングだったり、木質感のあるしっとり落ち着いた空間にはブラウンは合うと思います(メタリック感がどれくらいギラギラしてるのかはちょっと気になるところではありますが)。
また、これらの落ち着いたカラーは特定のテイストに限らず、やむを得ずアクセントウォール面にエアコンをつけなければならなくなった場合にも、白以外の選択肢として活躍してくれると思います(例えばネイビーとかダークグレーみたいな濃い色を選んだ場合など)。
ソライロ・グリーンは苦戦しそう
そもそもこの2色がよく売れるとは作った側も思ってないかもしれませんが、ブラックブラウンに比べるとほとんど売れないんじゃないかなというのがburame予想です。
というのは、若いご夫婦から年配のご夫婦まで接してきましたが一般的に日本人というのは空間に色を入れるのにものすごく抵抗があります。それが目立つもので後から色やデザインを変えるのにお金がかかったり自力ではできないものとなると尚更で、余程思い切りの良い方でなければ「普通でいいです」「白でいいです」と言われる事がほとんどです。子供部屋の壁紙でさえ「子どもが大きくなったら嫌がるかも」なんて言ってまだ生まれたての赤ちゃんの思春期の心配をする方も多いです。壁紙なんて一番お金をかけずにお部屋の雰囲気を変えられて楽しいものだし、十年も経てばいずれにせよ張り替え時なんですけどね・・・。
そんな感じでインテリアへの関心は年々高まっているとはいえ保守的な人がまだまだ多い中、目立つところに常にある家電に色を付けるというのはなかなかハードルが高いだろうなと思います。
ですがサイトにあるようなイメージ画像ではなく、実際の住まいやモデルハウスの導入例写真なんかがあればもっとイメージしやすくなりますし、こんなお部屋にしたい!という方も増えるかもしれませんね。
需要のある部屋と価格のバランス
サイトで価格を確認したところ、希望小売価格は
6畳用(白・黒・茶)280,000円(その他)+10,000円
8畳用(白・黒・茶)310,000円(その他)+10,000円
20畳用(白・黒・茶)590,000円(その他)+10,000円
となってて、他の広さに対応したものもあります。
価格comでダイキンの製品を見ているとだいたい希望小売価格の半額ちょっと下くらいで売られてるようなので、6畳用で14万、8畳用で16万、20畳で30万以内くらいになるのかな。
他の商品を価格comで見てみると、6畳用の売れ筋は5万円前後あたりのようなのでrisoraにしようと思うと同じようなスペックで倍以上の金額になることがわかります。
このエアコンつけたいお部屋がLDKだった場合、お施主様がお金に余裕のある方や余程気に入った方であれば採用してもらえる可能性は高いと思います。他に代わりがありませんし、家族みんなが集まる場所で来客も通す場所なので多少お金がかかっても見栄えを優先するでしょう。ですがもし付けたいお部屋が寝室や子供部屋だった場合、予算の都合で安い普通のエアコンに変更というのはよくあることです。
ここで問題なのは、実際このエアコンの需要があるのってリビングではなくデザインのテイストを振り切ってもいいような個室の方が多いんじゃないかということです。例えば和室や思いっきりシックにまとめた寝室・書斎、カラフルな子供部屋とか。
つまり何が言いたいかというと、この商品の需要が大きそうなタイプの部屋は予算を割く上で優先順位が低くなりがちなので、商品が気に入ったとしても予算の都合上採用に至りにくいところがネックなんじゃないかなということです。
まとめ
長くなりましたがダイキンの新しいエアコンrisoraをいちインテリアコーディネーターの視点から考察してみました。
3月の発売以降のどうなるのか今から楽しみです。
次の帰国の際にはぜひ実物を拝見したいと思います。
それではまた。
burame
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